物価高対策で独自色アピール=5候補、党改革・改憲競う―自民総裁選
自民党総裁選告示日の22日、候補者5人は党本部で所見発表演説会に臨み、12日間の論戦をスタートさせた。5人は国民の関心が高い物価高対策で独自色をアピール。党改革や憲法改正に向けた姿勢を競い合った。 物価高対策を巡っては、自民が参院選で公約した国民1人2万~4万円の給付、野党が掲げた消費税減税にいずれの候補も言及しなかった。 小林鷹之元経済安全保障担当相は現役世代が自由に使える所得を増やすため、所得税改革を進めると主張。実現までの間、定率減税を上限付きで実施すると約束した。茂木敏充前幹事長は地方が自由に使える「生活支援特別地方交付金」を新設し、「3年で平均年収を50万円上げる」と述べた。 林芳正官房長官は中低所得世帯を支援する「日本版ユニバーサルクレジット」を創設し、実質賃金1%上昇を定着させると強調。小泉進次郎農林水産相はガソリン税暫定税率の廃止や所得税の基礎控除見直しを挙げつつ「あらゆる選択肢を排除せず、政党間協議を真摯(しんし)に進める」と語った。 高市早苗前経済安保相は物価高対策に触れなかったが、公約には立憲民主党などが主張する「給付付き税額控除」などを明記している。 党改革に向け、小林氏は「世代交代」を訴え、「党を引っ張るのは若い力だ」と力説。茂木氏は「若手や女性を思い切って登用する」とし、閣僚の平均年齢を10歳若返らせ、3割は女性にする方針を示した。林氏は「ゼロからの再建」を掲げ、デジタル技術を使った発信・対話の強化を訴えた。 高市氏は「北欧の国々に劣らないほど女性がたくさんいる内閣や党役員会」を組織し、「全世代の総力を結集して自民を立て直す」と話した。小泉氏は「(当選)期数にかかわらず全員で役割と責任を果たしていこう」と呼び掛けた。 総裁選では国民民主党や参政党に流れたとされる保守層奪還に向けた取り組みも焦点となる。これを意識し、小林氏は「総裁任期中に憲法改正の発議をする決意だ」と強調。高市氏は「自衛隊の存在を憲法にきちんと書き込む。持てる情熱を注ぎ込んで議論を動かす覚悟だ」と語った。小泉氏は「私が先頭に立って与野党の(改憲)議論を進める」と訴えた。 [時事通信社]