米、イラン交渉にバンス氏関与=介入懐疑派、「次」への試金石
【ワシントン時事】米国とイランの停戦交渉を巡り、バンス米副大統領の動向に注目が集まっている。イラン側が外国への介入に否定的とされるバンス氏との話し合いを望んでいるとみられるためだ。同氏は、力を背景に強硬姿勢を取り続けるトランプ大統領との温度差も伝えられ、難しい立ち回りを迫られる可能性がある。 トランプ氏は24日、政権内で誰が交渉に当たっているのかと記者団に問われ、ウィトコフ中東担当特使らに加えバンス氏が「関与している」と明言した。バンス氏とイランのガリバフ国会議長との会談を想定した調整が進んでいるとの情報もある。 イラン側は、米イスラエル両軍による対イラン作戦開始後も好戦的発言を控えているバンス氏について、協議の最適な相手と考えているもようだ。米ニュースサイト「アクシオス」によると、バンス氏は23日にイスラエルのネタニヤフ首相と電話会談した際、イランの体制打倒を目指す民衆蜂起が起きるとしたネタニヤフ氏の当初の予測は「あまりにも楽観的だった」と直言した。 トランプ氏と、作戦直前まで「対外的軍事介入への懐疑論者」を自称していたバンス氏の間には、微妙な立場の違いがある。イラク従軍経験を持つバンス氏は、2003年に開戦に踏み切った当時の政府への疑念を政治活動の原点の一つに挙げる。これに対し、2期目就任以降のトランプ氏は、外交・安全保障政策における軍事力の役割を重視する傾向を強めている。 28年の次期米大統領選でトランプ氏後継の共和党候補の座をうかがうバンス氏にとって、停戦合意を得られれば大きな政治的得点となる。「軍は農村部や労働者階級、中間層から多くの人員を集めている」として、安易な武力行使を戒めてきたバンス氏の立場は、対外介入を嫌う白人労働者層を中核とするトランプ氏の支持基盤「MAGA(マガ)」と共鳴する。 一方で、交渉に失敗すれば責任を負わされるリスクも大きい。ワシントン・ポスト紙は、作戦が長期化すれば「次の共和党の大統領候補は有権者に戦争の正当性を説明しなければならなくなる」と指摘した。
