吉沢亮、横浜流星、山崎賢人、菅田将暉…目立つ若手俳優の活躍と過熱化するサバイバル競争
今年度の「日本アカデミー賞」で最多10冠を受賞した映画『国宝』に主演した吉沢亮や2025年放送のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で主演を務めた横浜流星のほか、山﨑賢人や菅田将暉、志尊淳、伊藤健太郎、北村匠海、佐野勇斗、神尾楓珠、高橋文哉など近年は数多くのイケメン俳優たちが存在感を放っている。
特に10代後半から30代前半の俳優たちの活躍が目立つが、その背景に“ジャニーズ帝国”の崩壊があることは否定できないだろう。
番組制作会社のスタッフはこう話す。
「かつて若い世代をターゲットにした民放キー局のGP帯の連続ドラマや大規模興行の映画の主演といえば、ジャニーズ事務所の人気グループのメンバーたちがキャスティングされるケースが非常に多かったですからね。もちろん、現在もジャニーズ事務所の流れをくむSTARTO ENTERTAINMENT所属のタレントの中には目黒蓮さんや永瀬廉さん、山田涼介さんをはじめ、俳優として連ドラや映画で主演級の活躍をしている者は多数います。とはいえ、同社がジャニーズ帝国ほどの影響力や威光をテレビ業界や映画業界に持っているとは言い難いですよね」
こうした背景もあり、世に言う「若手イケメン俳優」に関しては未曾有の群雄割拠の状況が続いている。
いまだ活躍の目立つ若手イケメン俳優たちの大半が大手芸能事務所に所属しているという事実はあるものの、ジャニーズ帝国の崩壊によって市場が活性化され、多くの若手俳優たちにとっては活躍のチャンスが増えたことは間違いないだろう。
もっとも、その一方で昭和や平成の頃に比べると彼らの生き残りをかけたサバイバル競争は厳しさを増しているという。
「当然のことではありますが、いくらヴィジュアルが良いと言っても年齢を重ねていけば劣化はありますし、自分よりも若い後輩たちが毎年星の数ほどこの業界には参入してきますからね。それに何よりも今はベテラン俳優たちが活躍できる作品が格段に減っています」(大手芸能事務所のマネジャー)
テレビドラマが活況を呈していた昭和や平成の頃、テレビ各局ではサスペンスやミステリーといった2時間ドラマや昼ドラマ、時代劇などが数多く放送されていた。
こうした大人向けの作品はベテラン俳優の活躍の場ともなっていたが、今ではめっきりその数も減っている。
「今でもNHKやWOWWOW、Vシネマなどではベテラン俳優が活躍できる大人向けの作品も制作されてはいます。とはいえ、狭き門であることは間違いないですし、WOWWOWのドラマやVシネマに関しては民放キー局のテレビドラマに比べると予算も少なく、当然ギャラも低くなります。邦画についても制作費が潤沢な“製作委員会方式”の大規模興行の映画の多くは漫画やアニメを原作にした実写化作品で、ベテラン俳優の出演枠はかなり限られますからね。NetflixやAmazon Prime Videoなどのネット配信作品も若い世代のニーズを意識した作品が多く、邦画と大差ない状況です」(同芸能事務所マネージャー)
それでも、演技力や表現力、個性など俳優としての確固たる実力があれば息の長い活躍ができるようにも思えるが、現実はなかなかに厳しいようだ。
前出の番組制作会社スタッフは語る。
「これは昔からのことですし、俳優だけの話ではないですが、その実力が数値化されない芸能人にとって商品価値の指標となるものの一つがキャリアで、基本的には実績に応じて格も上がり、ギャラもアップしていきます。もっとも、格やギャラが上がるのは良いことばかりではない。いくら仕事が減ってきたからといって主演クラスの格の俳優が『特別出演』や『友情出演』でもない限り、序列の低い脇役やちょい役で作品に出演しまくるわけにもいきませんし、そもそも友情出演に関してはノーギャラか格安ギャラが相場ですからね。仕事が欲しいからといって大幅にギャラを下げるわけにもいきません。そんなことをしたら自ら商品価値やニーズがないことをアピールするようなもので、かえって首を絞めることになります」
そうした中、舞台に活躍の場を見出す俳優も多いが、こちらに関しては適性の問題もあるという。
「舞台と映像作品の演技では勝手が違いますからね。もちろん、どちらでも実力を発揮できる俳優もいますが、正直言って合う、合わないはあると思います。それに、ひと昔前はまだキャリアが浅い段階で『そこまで金にならなくても将来のために舞台も経験させておくか』といった長期的なヴィジョンをもって自社の俳優を育てる芸能事務所も大手を中心に多かったですが、今は業界全体の不景気や独立ブームなどもあって結果的に芸能人の消費サイクルも短くなっているのが実状です」(前出の芸能事務所マネージャー)
今を時めく若手イケメン俳優たちも、将来的に役者だけで食べていくのはなかなかに至難の業のようである。
「ある程度世間に知られたヒット曲を持つ歌手やアーティストならば多少なりとも印税収入はあるでしょうし、コンサートやライブ、フェスの仕事なんかもそれなりにありそうです。“テレビから消えた”と言われているお笑い芸人の中にも営業などで今もそれなりに稼いでいる人もいます。女優なら美容タレントや出産を機にママタレントへ活動のフィールドを広げるといったケースもありますが、そうした将来的な活動の可能性を鑑みても男性俳優の方が長く芸能界で生き残るためにはよりシビアな環境に置かれているといった印象はありますよね。いずれにせよ、一握りの選ばれし者を除いて、全盛期の収入や生活水準をある程度維持するためには俳優業だけにこだわらず、マルチタレント化していくしかないでしょうけど」(放送作家)
昨今のドラマや映画を彩る若手イケメン俳優たちの輝きが少しでも長く続くことを祈るばかりだ。
(取材・文=三杉武)
