中国・習政権、軍のハイテク化急ぐ=林載桓・青学大教授
中国の習近平政権は開催中の全国人民代表大会(全人代)で軍備拡大路線の継続を明確にした。一方で、軍高官が相次ぎ粛清され、体制が動揺しているという観測もある。青山学院大学の林載桓教授は時事通信のインタビューに応じ、習国家主席が軍の指揮系統や装備のハイテク化を急ピッチで進め、指揮官の力量に左右されない体制を整えようとしていると語った。 中国政府は2026年の国防予算を前年比7.0%増の1兆9095億元(約43兆9000億円)に設定し、「先進的な戦闘力」の構築を掲げた。林氏は、習政権3期目が始まった22年ごろから人工知能(AI)などを活用した軍のハイテク化を推進しており、「政策は一貫している」という見方を示した。 軍を巡っては、制服組トップの張又侠・中央軍事委員会副主席と、同委委員の劉振立・統合参謀部参謀長が今年1月に失脚した。これ以前に3人が汚職で解任されており、軍の最高指導機関である同委は主席の習氏を含め2人だけという異常事態に陥っている。 これに関し、林氏は「粛清は権力闘争の側面もあるが、軍強化の進捗(しんちょく)に不満を持つ習氏が『しっかり進めろ』というシグナルを発した」と分析。短期的には作戦能力の低下を避けられないものの、「長期的には(AIに依拠した)指揮系統の自動化によって、習氏は自身以外の軍高官が誰であっても作戦に影響がないようにしたいのだろう」と強調した。 林氏は、軍事委の人数が元の7人に戻るのは27年の共産党大会だと予想。12年に発足した習政権で将来を期待され軍中枢を歩んできた40~50代は、習氏への忠誠心が高いとみる。この層に世代交代が進むかが焦点だという。党大会までに軍事委メンバーの補充があっても「形式的で、実戦能力も軍内での影響力もない人が選ばれるだろう」と話した。
