長期金利、一時2.020%に上昇=26年4カ月ぶり高水準、為替は円安―利上げ継続観測や財政悪化懸念
19日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時、前日比0.050%高い2.020%に上昇(債券価格は下落)した。1999年8月以来、約26年4カ月ぶりの高水準。日銀の利上げ決定や高市政権下で財政悪化が進むとの懸念から、債券売りが強まっている。 日銀は19日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の0.5%程度から0.75%程度に引き上げることを決定。植田和男総裁は記者会見で、「(追加利上げをしても)実質金利は極めて低い」などと発言。市場では、日銀が来年も利上げ路線を続けるとの見方が広がった。 高市政権が掲げる大規模経済対策に伴い、国債増発への警戒感が強まっていることも金利上昇圧力となった。市場関係者は「財政拡大への懸念は払拭されず、長期金利は年内に2.05%程度まで上昇する」(資産運用会社)との見方を示す。 長期金利はバブル経済崩壊後に低下傾向となり、90年代後半に2%を割り込んだ。その後は上下しながらも、デフレ不況の長期化や2008年のリーマン・ショック後の景気悪化などで低水準が定着。日銀が13年に異次元緩和を始めたことで低下が加速し、16年にマイナス金利政策が導入されると一時マイナス0.3%に沈んだ。 極端な低金利の弊害が強まったため、日銀は24年にマイナス金利政策を解除し、段階的な利上げによる金融正常化を開始。長期金利も上昇に転じ、高市政権が今年10月に発足したのを契機に一段と上昇している。 一方、19日の東京外国為替市場では、円相場が1ドル=156円台後半に下落した。米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを続ける中、日銀は利上げを実施。日米金利差が縮小するとの見方から通常なら円高・ドル安が進むはずだが、高市政権の「責任ある積極財政」への警戒感から円は下落基調が続いている。 [時事通信社]
