鹿児島・霧島に一時大雨特別警報=前線の影響、線状降水帯発生―住宅倒壊、浸水も
九州南部は前線の影響で7日夜から大雨となり、鹿児島県(奄美除く)では8日未明、線状降水帯が断続的に発生した。気象庁は同日午前5時に同県霧島市に大雨特別警報を発表し、同市全域と鹿児島市の一部には5段階の警戒レベルで最も高い「緊急安全確保」が発令された。朝以降は雨が弱まり、大雨特別警報は午後1時半に警報に切り替えられ、緊急安全確保も解除された。 県は災害対策本部を設置。県警は家屋倒壊が複数発生している可能性があるとし、人的被害を調べている。姶良市消防本部によると、住宅1棟が倒壊し女性2人が病院搬送された。病院搬送時に意識はあったという。 県災対本部などによると、薩摩川内市で住宅1棟が床上浸水。霧島市では住宅1棟が倒壊したほか、道路陥没でトラック2台が橋から転落した。2人が救助されたという。また市内にあるキャンプ場では、道路寸断により子どもを含む40人が孤立状態になっているとみられる。 霧島市の鹿児島空港にある観測点(溝辺)では、午前3時までの1時間に107.5ミリの猛烈な雨を観測し、午後0時50分までの24時間雨量が506.5ミリに上った。同市・牧之原でも午前8時までの同雨量が515.5ミリとなり、いずれも地点ごとの観測史上最多記録を更新した。 同空港の発着便は多数欠航し、JR鹿児島線など在来線も運転見合わせが相次いだ。 気象庁の立原秀一予報課長は記者会見し、九州南部には前線の影響で東シナ海から非常に湿った空気が流れ込み続け、当初の予測より早く線状降水帯が発生したと説明。霧島市付近の狭い範囲に集中的に雨が降ったという。 前線は九州付近に停滞し続ける見込み。立原課長は「今後は少しの雨でも災害の危険度が高まるので、引き続き身の安全を確保してほしい」と呼び掛けた。