返金なく、募る後悔=1500万円投資の男性―金商法違反事件

2025/08/08 12:14配信【時事通信社】

 フィリピンに拠点を置く「エスディビジョンホールディングス」(SDH)のグループ企業に計1500万円を投資した兵庫県の50代の男性は、約束された配当も元金の返済も受けられないまま、頭を抱えている。「コロナ禍で渡航ができず、現地で事業を見ずに投資してしまった」と後悔を募らせている。 きっかけは5年前だった。10年以上付き合いがあり、信用していた保険会社の営業担当者に「フィリピンの会社に投資しないか」と誘われた。現地でコールセンター業務をしているというSDH社のグループ企業を紹介され、「座席権」と呼ばれる権利を購入すると、利益の一部を配当として得られ、元金も返済されると説明された。 年20%もの高い利回りに不安を覚えたが、営業担当者は「自分も投資して配当を受け取っている」と、グループ企業の写真やフィリピンの経済成長を示す資料も見せた。 営業担当者に紹介された代理店も勧誘に熱心で、「座席権を多く購入すれば、年利が上がる」「今後は証券会社が介入するからこの利率は今だけ」と焦らせるように繰り返した。 2020年、男性は計1500万円を投じて座席権を購入した。だが、当初、約束通りに支払われていた配当は、23年末ごろに止まった。グループ側からは定期的に説明があったが、謝罪ばかりで支払いに関する具体的な言及はなかった。 不払いが続いたため、男性は今春、フィリピンの弁護士に依頼して、グループ企業の財務諸表を取り寄せた。当初、説明を受けていた業態とは全く違うことが判明し、「実態は本当にあったのか。だまされたのではないか」と疑念を深めた。 男性は経営する自身の会社でフィリピン人技能実習生を雇用していた。投資が成功すれば「フィリピンで事業をして、恩返しがしたかった」と語る。7月、SDH社側を相手取り、投資金の返金を求めた訴訟を起こした。 


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